年々増加傾向の糖尿病ですが、食事療法、運動療法、薬物療法を上手に組み合わせて合併症などを防ぐことが出来ます。
鼠径ヘルニアとは、お腹の中にあるはずの腸の一部が多くの場合、鼠径部の筋膜から皮膚の下に出てくる病気で、一般的には「脱腸」とも呼ばれている病気です。 乳幼児から大人まで起こりうる病気の1つで、乳幼児の場合は先天性の要因がほとんどです。自然治癒を期待出来る病気でなく、嵌頓(元に戻らなくなってしまった状態のこと)を防ぐためにも手術を求められる病気です。
幼児と成人が発症される事が多いヘルニアです。鼠径部のやや外側が腫れてきますので、腸や内臓脂肪など外へ向かって飛び出します。多くの鼠径ヘルニアはこのタイプが多いです。身体の右側に多くみられる傾向があり、内鼠径輪から男性では精索が、女性では子宮円靭帯がお腹の中から出ています。
中高年の男性に多いのが特徴的で、内鼠径輪を通らず腹壁を腸や脂肪などのの脱出物が押し出し、ヘルニアが起こります。
女性に多いヘルニアで、特に高齢の女性のに多いのが特徴で、鼠径部の下の太ももが膨らんでいます。足の血管の脇へはみ出すヘルニアです。元に戻れなくなる状態の「嵌頓(かんとん)」の状態になりやすく、早急に治療が必要となります。二つ以上のヘルニアが合併するケースがあります。
鼠径ヘルニアになる原因は様々で、生まれながらの先天性と仕事や運動不足、加齢などでお腹の筋肉が弱まることによって発症される方、妊娠などにより腹圧が高まり発症される方などがいらっしゃいます。鼠径ヘルニアになりやすい人と言われているのが乳幼児、中高年でも男性の方がなりやすい人ようです。
鼠径ヘルニアは薬では治りません。治療法は手術のみです。手術は弱くなったお腹の壁の部分にメッシュと呼ばれるシートを当てがい、お腹の壁を補強します。 以前は鼠径部の皮膚を4cm程度切開する前方アプローチという方法が行われてきました。最近はおへそとその左右の計3カ所に1cm程度の穴をあけて行う腹腔鏡下ヘルニア修復術が多く行われるようになってきており、当科ではほぼ全例腹腔鏡で手術を行っています。腹腔鏡下ヘルニア修復術は全身麻酔が必要になりますが、傷跡が小さく痛みが少ないため早期に職場などに社会復帰できる、ヘルニアをお腹の中から観察できるので小さなヘルニアを見落としにくい、左右両側にヘルニアがあっても傷を増やすことなく手術できるなどの利点があります。